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留学先:University of Michigan,アメリカ・ミシガン州アナーバー

 

研究室:Killian and Abraham Labs (PI:Adam Abraham, PhD, Megan Killian, PhD)

 

留学期間:2022年8月22日〜2022年9月23日

 

留学資金源:埼玉発世界行き奨学金 浦和競馬チャレンジ奨学金 短期コース (50万円)

 

 私は2022年夏季の一か月間,米国北西部のミシガン州にあるミシガン大学にて短期留学を行いました.ミシガン大学は米国有数の名門大学と評されており,国内はもちろん他国からも多くの学生・研究者が集う非常に大規模な大学です.その中でも私は医学部整形外科学准教授のKillian Megan博士研究室にてこの一か月間を過ごしました.今回の主な留学目的は,本研究室同様のマウス研究を行うこの研究室を見学し,研究手法や技術を習得する,そして自らの研究にそれら技術を応用することでした.

 

実際にこの一か月の留学期間を通し,これまでに触れたことのない遺伝子改変マウスやIn vitroレベルでの解析,筋・腱を対象にしたオペ方法等,様々な研究技術を学ぶことができました.当時まだ研究経験の浅い私にとっては見るものすべてが新鮮で,一つ質問を問いかけるごとに十の知識が得られる日々でした.そんな中でも私は特に細胞の培養技術に興味を持ちました.留学前までは見たことさえないほとんど無知の領域でありましたが,今回の留学期間に見学し1から勉強したことで,その面白さを知ることができました.この研究室で学んだこれら新しい研究手技は,今後自身の研究計画に取り入れることで,留学前の自分では得られなかったであろう幅広いデータの収集・解析が可能であると考えています.今後も引き続き研究に精進し,その技術を向上させながら信頼性の高いデータを収集し,医療発展に貢献できる価値のある論文を作成したいと考えています.

また,ミシガン大学は研究機関型総合大学であり研究に対して非常に力を入れている大学で,私が主に留学活動を行った生物医学化研究棟は,多種多様な研究機材が揃っているだけではなくKillian研究室の他240にも及ぶ研究室,1,000を超える研究者が日々研究を行うミシガン大学医学部が誇る大きな研究施設です.大学内には「UROP」という,研究者を志願する学生と研究者を確保したい教授とのコネクションを行う組織があり,学内の研究機関を維持・拡大していくシステムが形成されていました.そんな組織に属する同年代の学部生や大学院生と会話をすると,今後の自分のビジョンをしっかりと持っていたのはもちろんのこと,何よりとても楽しそうに研究を行っていたのが印象的で,ここでは性別・年齢問わず研究者を育成する環境が非常に整っているように感じました.一方で見学中に日本の私の研究室でも行われている解析方法や手技も多数見られたということもまた事実です.最先端の研究大国と思っていた米国ですが,それに引けを取らない研究技術が日本,私たちの研究室にもあるということを学べ,今後世界各国の研究者と戦うことは決して不可能な夢ではないということ,そのためには何が必要なのかをじっくりと考える機会になりました.

当時私は理学療法学部に所属し学部生として理学療法を学んでいたことから,今回の留学におけるもう一つの目的として,米国の理学療法について学ぶことを上げていました.米国では医師の指示なしに理学療法士が直接介入をすることができるDirectAccessという権利が認められており,理学療法士は医学的・社会的に地位の高い職業であるといわれています.また,日本では3年以上の養成校に通うことで理学療法士の国家試験資格が得られるのに対し,米国での理学療法教育は博士課程のみとなっており理学療法士の資格を得るためには学位取得後の大学院進学が必須となります.この理学療法学科への進学は非常に狭き門となっており,学部生の頃から優秀な成績を収めたり積極的な課外活動をしたりする必要があるといわれています.今回,そんな理学療法学科博士課程への進学を目指す同学年の学部生たちとも話をする機会を得られました.どの学生も目を輝かせながら現在の活動や学んでいる学問について話をしており,同学年ながらまっすぐに夢に向かって活動している彼らに非常に刺激を受けました.それに加え,この留学期間中に大学関連施設のクリニックに訪れ,実際に現地の理学療法介入を実習形式で見学する機会も得られました.リハビリ介入の仕組みや評価,治療等米国の理学療法を直接学び,研究同様にこちらでも日本との違い・共通点共にたくさん見つけることができました.それでも評価方法や治療方法においてはほとんど差異なく,この4年間大学の講義や実習で学んだものを米国でも見ることができとても面白かったです.

【海外の人々との交流】

 留学の目的の2つ目としては海外の文化や習慣に触れるとや海外の人とたくさん話し,コミュニケーション能力の向上させることとしました.

 私は留学の1ヶ月間,大学に隣接した学生寮に住んでいました.この寮では様々な国籍の大学院生が生活しており、理学療法のみでなく作業療法、医学など様々な分野の学生が暮らしており,日用品や電化製品, キッチンを共用で使えるような仕組みとなっていました.生活する中で顔を合わせることも多く,常に英語でのやり取りが必要となる環境でありました.相手からの話はかろうじて理解できたつもりでも、自分が伝えたい言葉が出てこないことに苦しむことばかりでしたが,自分が困った時は英語で伝えて助けてもらうしかないという環境であったため、無理やりにでも英語を発していました.初めは話しかけ方苦戦し, 寮の中に関わらず, 研究室や外出先でも周り人がどのように話しかけているのかを観察するところから始め, 真似をしていました. 話しかけたはいいもののその後の言葉が出てこず行き詰まることもありましたが, 伝えたいことがあるという意思表示をすることの大切さを実感する機会となり, 徐々に英語で声をかけることに対するハードルが下がっていきました.

 不得意ながらもコミュニケーションをとったことによる素敵な出会いや, 経験がたくさんありました. 寮では夜間学生同士の会話はテンポも早く内容をほとんど理解できないことがほとんどでしたが, 寮の学生との会話の中で新たな紹介を得て, 医学生と仲良くなり週末に観光名所に遊びにいくなど, 研究室に留まらずたくさんの新たな出会いがありました.様々な出会いから日本との違いとして感じたことが, 多国籍の人がともに生活する環境への受け入れがあることです.研究室のメンバーにおいても, 寮の学生においても国籍は様々でそれが当たり前となっているように感じました.

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1ヶ月の留学という短い期間でありましたが, 海外に行くこと, 日本人がいないこと, 日常的な英会話, 海外の友達, 海外での研究,・研究機器全ての経験が新しく, 新鮮で何をするにもハードルが高いと感じるものばかりでしたが, 実際に経験し自分にもできるという新たなきづきが生まれる機会となりました.

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