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留学先:University of Michigan,アメリカ, ミシガン州アナーバー

 

研究室:Killian and Abraham Lab. (PI:Adam Abraham, PhD, Megan Killian, PhD)

 

留学期間:2022年7月18日〜2022年8月24日

 

留学資金源:民間研究助成金

 

 Killian and Abraham Labsは, 7人程度のメンバー (Staff:1人,Grad student:3人, Undergrad student:3人 うち1人ローテーション中)PIはResearch Investigator のAdam C Abraham, Ph.D. とAssistant ProfessorのMegan Killian, Ph.D.が夫婦で運営している研究室です.

 主な研究内容は ,結合組織の発達と疾患に焦点を当てた研究を行うグループです.彼らは,腱・筋肉・骨・関節の成長過程と損傷後治癒プロセス改善に活用できる筋骨格系の成長とリモデリングに関する研究を実施しています.整形外科疾患(小児および若年成人患者における関節の不安定性,拘縮,オーバーユース障害など)や慢性腱障害(腱症,断裂)の根底にある細胞および組織スケールのメカニズムに焦点を当てています.動物モデルから患者細胞まで対象とし,組織学,分子細胞生物学,トランスジェニックマウスモデル,力学的試験などツールを使用しています.近年は,光で活性化する物質を細胞に発現させ,光によって細胞の機能を制御する技術であるオプトジェネティクスを用いたマウスモデルを使用し,非侵襲的に筋収縮をコントロールすることで筋活動に伴う腱・骨発達プロセスの解明に着手しています.この技術は,近年神経科学分野では活発に用いられておりましたが,整形外科領域においてもいち早く導入したことで先駆け的存在となり,本研究室の成果に注目が集まっています.

 我々の研究室では,腱発達過程におけるメカニカルストレスの役割解明をプロジェクトの1つとして実施しております.このオプトジェネティクスを用いた研究は今後の腱発達メカニズム解明においても非常に有用なツールであると考えており,以前より話を伺えないかと思っておりました.その後,国際学会でのSection Meetingにて,Dr.Killianの隣の席に滑り込み,彼女の研究への興味を伝えたことで,今回の渡航が実現しました.

 実際にマウスを用いた研究に参加させてもらう中で,動物への光刺激運動介入方法はもちろんのこと,彼らのバックグラウンドであるエンジニアリングの技術が元となり実験・解析が組まれており,我々の医療系の研究室とはまた異なるスタイルが非常に勉強になりました.また,今回ホストとなってくださったDr.Killianは長年遺伝子改変マウスを用いた研究に従事している研究者です.そのため飼育室内では,複数の種類の遺伝子改変マウスを掛け合わせており,マウス管理も大学院生の重要な仕事として任されておりました.そのように多様なツールが実験の選択肢にあることで,in vivo/ vitro実験を組み合わせつつ,生物学・エンジニアリングの知識を元としたリサーチクエスチョンに対して実験デザインを組み立てられておりました.論文になって公開された状態では知ることができない,予備実験を踏まえた研究デザインの決定プロセスを見せていただくことができ,今後の自分の研究の広げ方の参考になったと感じています.

 滞在中に,何度かLab social と称した,ラボを離れ,家族やペットの犬とともに食事をする機会がありました.ザ・アメリカの文化だと感じつつも,実験データから離れ,ラボメンバーと交流を持つ時間があることは,人間関係を構築する上で有意義な時間ではないかと,コロナ禍を経たからこそより深く感じています.今回の滞在中は,ラボ技術員スタッフとして所属していた方が医学部への進学が決定し,ラボから離れるタイミングでした.現在の日本では高校卒業後に医学部に入学する場合が多いですが,米国の場合大学を卒業後リサーチアシスタント等の経験を積んだのちに医学部へ入学するキャリアが多いそうです.彼女は医者としての臨床への興味とともに,研究も非常に好きだから続けたいと言っており,理学療法士としての臨床と研究の両立を目指す私を奮起させる存在となっています.

 また滞在最終週には,ミシガン州デトロイトを本拠地とするデトロイト・タイガースと大谷翔平選手が所属するロサンゼルス・エンゼルスとの試合が,コメリカ・パーク(ミシガン,デトロイト)にてありました.なんとチケットが取れた日は,大谷選手が先発投手として出場した試合でした.日本の球場と異なり,観客とグラウンドの距離が非常に近く,選手の動きがよりダイナミックでした.大谷選手のおかげで日本人というだけで周りの観客に声をかけてもらえ,隣のアメリカ人のお姉様方と楽しみながら観戦し,非常に貴重な思い出となりました.

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 自身は学部3年生に続き,2度目の海外ラボの経験となりました.海外のラボの雰囲気を肌で感じること自体が大きな刺激となった学部生時代の留学と比較し,今回は自身の研究に対する助言を頂けたことや滞在先の技術の獲得を行え,少しばかりの成長を感じるとともに,自身の研究でも世界をリードする米国の研究にも負けずに勝負していかなくてはと改めて感じる機会となりました.

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